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文書作成日:2024/08/27
年金所得者に係る確定申告不要制度と定額減税との関係

[相談]

 私(70歳)は、公的年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を年240万円程度受給していますが、それとは別に、アルバイト勤務による給与収入があり、今年(令和6年)6月以降、上記の両収入について、それぞれ所得税の定額減税の適用を受けました。
 そこでお聞きしたいのですが、私は令和6年分の所得税について確定申告を行う義務があるのでしょうか。教えてください。なお、私の令和6年分の給与所得の金額は20万円以下の見込みで、上記以外の所得はありません。

[回答]

 ご相談の場合については、必ずしも所得税の確定申告をする必要はないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.年金所得者に係る確定申告不要制度の概要

 所得税法上、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者(※1)で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である人(※2)が、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※3)が20万円以下であるときは、原則として、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、所得税の確定申告書を提出することを要しないと定められています。

※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

※2 その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっている人に限ります。

※3 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額とは、利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいいます。

2.令和6年の所得税の定額減税制度の概要

 令和6年分の所得税については、その人のその年分の所得税の額から、原則として3万円の特別税額控除額が控除されます(定額減税)。

 上記の所得税の定額減税は、給与所得者(いわゆる甲欄適用者)についてはその主たる給与の支払者のもとで、厚生労働大臣等から支払を受ける公的年金等に係るものについては公的年金等の支払者のもとで、それぞれ行うこととされています。

3.公的年金収入の他に給与収入がある人の取扱い

 今回のご相談の場合のように、公的年金収入(公的年金等に係る雑所得)の他に給与収入(給与所得)がある方については、上記2.で述べたとおり、それぞれの収入にかかる源泉徴収税額から定額減税が行われます。

 しかしながら、国税庁と厚生労働省によれば、公的年金等や給与等で重複して所得税の定額減税を受けたことのみをもって、所得税の確定申告を行う義務は発生しないとされています。

 したがって、今回のご相談の場合のように、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であって、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることにより、所得税の確定申告が不要とされている人については、必ずしも所得税の確定申告をする必要はないこととなります。

[参考]
所法121、203の7、所令319の12、措法41の3の3、41の3の7、41の3の8、41の3の9、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係【令和6年5月改訂版】)(令和6年5月15日改訂)」、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)(令和6年4月30日)」など

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